2022年3月10日(木)〜14日(月)の5日間、東京都新宿区にある早稲田スコットホールギャラリーにて「KOMA WORKSHOP コマのワークショップ CASE STUDY 2022」を開催した。2017年から5年間勤務した早稲田大学ものづくり工房を”卒業”するにあたり、〈 ワセダ/大・卒業制作展〉として、ものづくり工房にて制作したDIY / ARTS & CRAFTS作品を展示した。
展示にあたっては次の3つのテーマをもとに行なった。
① 〈squatting〉 早稲田を(スクワット/不法占拠)する。
ブリコラージュのカルチャーから、その場所で手に入る技術と設備をアッセンブルして出来るものづくりを実践した。本来エンジニアリングを目的とする環境において、その場所の設備を活用、技術を研鑽して、パーソナルな造形表現へと移行することを目的とした。
② 〈locality〉日常生活から文脈を発見し、地域性を表現する。
新宿駅から西早稲田の職場まで、毎日徒歩で通勤していた。アジア有数の歓楽街である新宿歌舞伎町、多民族多文化が共生する新大久保を通過して、その特殊な場所性、都会ならではの猥雑な街の雰囲気を楽しみながら、そこを見た自分の眼差しを作品化することを目的とした。
③ 〈architecture〉 建築家ヴォーリズ設計スコットホールの半地下空間を活かす。
1922年にヴォーリズ建築事務所のデザインにより建設された早稲田スコットホール、この赤煉瓦組積造の建物の半地下にあるギャラリーにて展示を行なった。重厚な赤煉瓦に覆われたインテリアを持つギャラリーの空間性を引き出すデザインを行うことを目的とした。
展示作品
DREAMACHINE SUGI / EBONY
DREAMACHINEとは、作家ブライオン・ガイシンによって発明された瞑想的な催眠状態へと誘発する視覚装置である。円筒の表面に黒檀と高知県産の杉材の薄い突板を張った2台のDREAMACHINEを制作した。高知県産材を扱う”高知3部作”の2作目にあたり、高知の深い森を彷徨う中で出会う、木立の合間から光が溢れる幻視のヴィジョンをイメージしている。2台のDREAMACHINEを展示空間の中央にレイアウトし、回転するランタンのスリットから溢れる光が、赤煉瓦の凹凸による陰影をリズミカルに照らし出している。材料協力:エコアス馬路村
Peasant Chair as a Self Portrait/自画像としてのペザントチェア/”I have the cheshire cat in my mind”
映画「VVITCH」は音響、美術、ストーリー全てが素晴らしいだけでなく、17世紀のアメリカ入植者によるプリミティブなクラフトとオカルト的な寓話性が共存する世界観にどうしようもなく惹かれてしまう。この映画からインスピレーションを受け、フォークロア+オカルトを表現するために、ペザントアートに興味を持つようになった。今回の椅子では、林二郎氏の著作からHow toを参照し、WEBショップからタモ材の20ミリ厚の板材と40ミリ角の棒材を入手し、バンドソー1台と手加工にて椅子を組み立てた。
EAMES House of Cards ,”30 views of Shinjuku Kabukicho”/イームズハウスオブカード, “新宿歌舞伎町30景”
明治通りから小滝橋通りの間を毎日ルートを変えて通勤していた。街を照らす光と闇、街に在る表と裏の両面を眺めながら、新宿ノワール小説や映画の舞台となる非日常的な空間を歩いた。緊急事態宣言が解除されたにもかかわらず人気が戻らず、異様な雰囲気が漂う2022年1月の歌舞伎町をiphone7にてスナップした。イームズのハウスオブカードをフォーマットとして、撮影した写真をレーザー加工機にてアクリル板にプリントした。自分の視点で切り取った歌舞伎町の風景を、ハウスオブカードとして組み合わせて、立体的に再構成している。
Retrospective ; Tama Art University Graduation Work in 1994
1994年の多摩美術大学での卒業制作「Library of Rare Book & Manuscript / 稀覯本図書館」を新たに額装した。当時、建築家Giorgio Grassiのドローイングやバンド・デシネ作家Schuitenの作品に憧れて制作した水彩のドローイング作品。
Dürer’s MELANCHOLIAのシリイズ#2
IKEAの照明”FADO”を光源・内接球とする多面体のランプシェード。透過率の異なるポリカーボネート板をカットした変形5角形のパーツを6枚組み合わせて、メランコリアの多面体を形成している。