TET/TRA

神戸港のメリケンパークとハーバーランドを結ぶウォーターフロント空間に設置したインスタレーション作品である。特徴的な幾何学形態を持つ作品「TET/TRA」は、人と環境を有機的に結び付けるオブジェクトであり、水際空間の楽しさを演出し、驚きのある空間体験を作り出す。

2011年の東日本大震災や日本列島で起こる様々な自然災害では、想像を超えた自然のエネルギーによって人間の生命や財産が脅かされ、自然をコントロール出来ると考えてきた人間の驕りを露わにした。「TET/TRA」は、水辺を護る波消ブロックの形状をモチーフとして、人工物から自然素材へと材料を置き換え、人間と自然とが対峙する関係から、緩やかに共生する関係へと変容させていく。

740個の集成材のパーツを組んだ120個のユニットによって、外側の6枚のシェルと内部の2本のチューブを構成し、全高3メートルの幾何学モデルを形成している。ボリュームのある安定した形態を木製のフレームで構成することによって、ボリュームの内部を空間化・構造化している。交差する2本のトンネル状のチューブが人を導き、遊び心のあるプレイ・スカルプチャーとして存在する。移ろう光や影、風や港の風景がフレームの格子を透過し、ゆったりとした時間の流れを感じられる。

神戸ビエンナーレ2015 しつらいアート国際コンペティション 入賞

制作協力:金中林産合資会社